2014年1月9日木曜日

文科省検定基準改定のパブコメに意見を出しましょう!


エネルギーに続いて、教科書検定のパブコメも募集中で、締切が迫っています。
以下、子どもと教科書全国ネット21の俵さんからのメールを転載します。
ご参照ください。

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俵義文です。
文科省が実施中の検定基準改悪のパブリックコメントの募集締め切りが迫ってきました。
ぜひ、多くの方が反対意見を送られるよう、再度、パブコメの文案をつけて送ります。

この文案は、出版労連教科書対策部作成のものですが、了解を得て転載します。

【文部科学省パブコメの方法(文科省意見公募要領より)】
(1)提出手段 郵送・FAX・電子メール(電話は不可)
(2)提出期間 平成25年12月25日~平成26年1月14日必着
(3)宛先 住所:〒100-8959 東京都千代田区霞が関3-2-2
文部科学省初等中等教育局教科書課宛
FAX番号:03-6734-3739
電子メールアドレス:pckentei@mext.go.jp
※件名に【検定基準改正案への意見】と必ず記入してください。ウィルス対策の
ため、添付ファイルでの提出は受け付けていません。メール本文に意見を御記入
下さい
【意見提出様式】
 文部科学省のHPにあるにある意見提出フォームを使う方が楽という意見もあります。
どちらでも構いません。

 応募には添付ファイルは駄目です。添付ファイル不可のMLもあるので、出版労連教科書対策部作成の文案は貼り付けておきます。
これをこのままコピーして貼り付けて、送っても結構ですが、できるだけさまざまな意見があることを示すのがよいと思いますので、可能なら適宜変更してください。一部でもかまいません。
応募要領は次のとおりです。

「検定基準改正案への意見」
・氏名 ・性別、年齢
・職業(在学中の場合は「高校生」「大学生」など在学する学校段階を表記。)
・住所 ・電話番号 ・意見
※複数の論点について御意見をお寄せいただく場合には、とりまとめの都合上、
論点毎に別様としてください。(1枚1意見、1メール1意見としてください。)

【検定基準改定の概要】【検定基準新旧対照表】

文科省HPにPDFで掲載されています。是非ご覧ください。

以下、出版労連教科書対策部作成のパブコメ案です。

義務教育諸学校教科用図書および高等学校教科用図書の検定基準(以下「検定基準」)の改定に反対する。今回示された教科書検定基準改定案(以下「改定案」)は、以下の理由により絶対に容認できないので、撤回を要求する。

理由① 安倍首相と自民党の歪んだ教科書認識を教科書に押しつけるものである。

改定案の根拠である「教科書改革実行プラン」(20131115日付)の認識は、教育基本法と学習指導要領が変わったのに、教科書が変わっていないというものである。これは自民党「教育再生実行本部」やその下部組織「教科書検定の在り方特別部会」が繰り返し述べてきた、「教育基本法が改正され、新しい学習指導要領が定められたにもかかわらず、いまだに自虐史観に立つなど、問題となる記述が存在している状況」という認識をストレートに反映したものとなっている。これは自民党が教科書攻撃を行ってきた勢力と共有する認識であり、そこにあるのは教科書を通じて歪んだ歴史認識を子どもたちに植えつけようとする政治的思惑である。現に下村文科大臣は20131115日の記者会見で「これは自民党の方の教育再生実行本部の特別部会からの提言を受けて、この教科書改革実行プランを今日発表している」と述べている。

「自民党の提言」は、2013627日の「議論の中間まとめ」以降出されておらず、現時点では公表されているかぎり、これが最新である。政権党とはいえ私的組織にすぎない政党の最終決定でもない文書に基づいてこのような重大な決定を行うことは、教育行政の私物化というべきである。このような政治的背景があることは事実であり、20131220日の教科用図書検定調査審議会第2回総会でも審議委員から言及があったところである。

理由② 歴史の事実についての解釈権を政府が有することは許されない
改定案の意味するのは、要するに「通説的な見解」の決定権を政府が有するという主張にほかならない。「政府見解」が常に正しいものではないことはいうまでもないにもかかわらず、それを義務的に掲載させるというのである。これらが南京虐殺の犠牲者数や慰安婦問題、領土問題などを意識したものであることは明白である。そもそも教科書記述の正しさは、政治によって決められるものではなく、学問研究の成果によって担保されるものである。従来もこれらの問題については「政府見解」を書くよう求める検定意見がつけられてきたが、改定案はこれを合格要件とするものである。それは教科書を政府のいわば「広報誌」に変質させることにつながる。
これが憲法の保障する言論・表現・出版の自由、学問・良心の自由に抵触することはいうまでもない。さらに日本政府も批准している「政治的及び市民的自由に関する国際規約」(「自由権規約」)第19条にも抵触する。これらの自由は出版という営みの成立基盤である。改定案はこれらを蹂躙するものであり、出版労連として絶対に許すことはできない。

理由③ 「近隣諸国条項」を空文化させ、アジア諸国との関係を悪化させ緊張を高める
政府見解を書かせた検定済教科書を授業で使用することが義務づけられた現在の制度下では、改定案はナショナリズムを煽ることにつながらざるをえない。これは東アジアの政治的緊張をいっそう激化させ、将来に大きな禍根を残すことになることを懸念するものである。

下村文科大臣は前出の記者会見で、現行検定基準の「近隣諸国条項を排除してつくるということは入っていない」と述べたが、改定案に従えば「近隣諸国条項」は空文化する。いわば「解釈改憲」的手法で中国や韓国、アジア諸国からの批判をかわしつつ「近隣諸国条項」を実質的に廃止するものである。

理由④ 教科書の職場に大きな混乱をもたらす。

 文部科学省は、検定基準の改定を発表する一方で、来年度の中学校教科書の検定申請受付日程を教科書発行者に通知した。現在、各教科書発行者では中学校教科書の申請本(いわゆる白表紙本)の編集作業に追われて長時間過密労働が続いている。検定基準の改定は、この状況をさらに悪化させる。これまで積み重ねてきた編集内容が、教科書検定基準変更によって水泡に帰す可能性すらある。これは、いわば試合が始まってからルールを変更するに等しい行為であり、その不当性は明白である。

改定案の問題は以上に尽きるものではないが、これだけでも改定案が許すことのできないものであることを改めて強調する。出版労連は、重ねて改定案の撤回を要求するものである。

以上


子どもと教科書全国ネット21
Children and Textbooks Japan Network21(CTJN21)
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