2013年3月5日火曜日

アメリカ通信−1 アメリカに来て二ヶ月です。

 下関労働教育センタースタッフの中井です。一月の初めに、アメリカのボストンに渡米し、勉強しています。到着するなり学期が始まり、このたび一週間の春小休暇に入りましたので、ようやく投稿させていただきます。

 まずアメリカに渡るまでが大変でした。9.11以後、アメリカは国家セキュリティーのハードルをあげていて、とにかくビザを取るのに私自身は苦労し、東奔西走しました。渡米してしばらくの間はカルチャーショックに苦しみました。ここではすべてがネットを通してなされていて、日本人からすると人間的でない感じがします。ビザを取得するためにもネット、パソコンが使えない人は一体どうしたらよいのかと疑問に思いました。ニューヨークタイムズに、未だに日本ではファックスが人気があるという記事がのっていました。ある弁当販売会社がファックスでの受注をやめたとたん売り上げが落ち、結局ファックスに戻したという記事でした。こちらの人からすると驚きのようですが、確かに日本人はハイテクの国と言っても、どこかで人間的な関わりに愛着を持っているように思います。

 また、移民や外国から滞在のために入ってくる外国人に対してそんなに寛容でないという印象を受けました。病院に電話をかけたのですが、私の英語がひどかったのでしょうが、あっさりと切られてしまいました。外国からの異質なものへの潜在的恐怖の意識(私たち外国からのものはアメリカンパラノイアと呼んでいます)があるのを感じます。ある政治学者が、情動で世界の状況を分類し、イスラムの先進国への怒りの感情、アメリカは報復への恐れの感情、と言っていますが、言い得て妙という感じがします。
 大学の雰囲気も、私たちも個人主義が強くなったと言われますが、それでも日本人からすると、やはり個人主義的な雰囲気があります。助け合うというより競争的な雰囲気で授業はとても緊張します。

 そんなこんなで毎日が困難と緊張の連続でしたが、二ヶ月するとだいぶこちらの状況に慣れてきました。アメリカのよいところも見えてきます。ファーストフードのトイレは鍵が常時かかっていて使いたい時は店員に頼まなければならないのですが、それがわからず私が往生していると、近くに座っている客が助けてくれたりします。(日本でもそれは一緒か。)

 昨日から日曜日の奉仕の仕事をもらうことができました。勉強だけでなく、アメリカ社会の底辺にいる人とつながってこいという館長の命令をいつも肝に刻んで、ようやく一歩踏み出しました。刑務所に行って、囚人のためにカトリックの儀式をしたり、話を聞いたりするボランティアです。彼らは愛の言葉に飢えかわいているのだと感じ、自分が必要とされていることで私自身が癒されました。これから毎週通います。

 案外、伝えたいこと、たくさんありますね。アメリカの新聞を読んでいても本当の情報がわからないというのは日本と同じですね。フランスのマリへの派兵など、正義のためのように書かれていますが、一緒に住んでいるアフリカ人に尋ねると、憤慨して答えてくれました。利権で動いているというのが本当のところですが、そういう圧迫されたものからの視点は欠けているように思います。社会倫理の若い先生とそのような話題になると、アメリカ人は井の中の蛙で、外から来た人の声を聞かせてもらうことは貴重なことだと言って、私の発言を励ましてくれました。

 まだ伝えたいことがあるのですが、自分の中で熟させてまた投稿させていただきます。センターのみなさん、どうぞお元気で。林神父さん、どうか元気でいてください。

                                 中井 淳